• ホーム
  • おそらく、世界が必要としているのは小さな「ガムランジャイ」(心のインスピレーション)です。

おそらく、世界が必要としているのは小さな「ガムランジャイ」(心のインスピレーション)です。

2021/08/11

おそらく、世界が必要としているのは小さな「ガムランジャイ」(心のインスピレーション)です。

Phiset Sa-ardyen

タイ王国法務研究所事務局長

 

世界中のあらゆるニュースがクリック一つで報告される今日のますますグローバル化する世界は、人類が直面している無数の問題に溢れていることがよくあります。時には、ネガティブな見出しが多すぎると、私たちの世界がますます激動しているのか、それともデジタル情報技術の進歩を考えると、単に情報が豊富なのかという疑問が生じることが  あります。それにもかかわらず、ジェンダーの不平等、貧困、性的虐待などの問題が絶えず報告されていることが  「過去の出来事」になったことはなく、そんな世界に落胆し、うんざりします。

    しかし、このデジタル情報化時代の高まりは、2017年のツイート後に注目を集めた世界中の女性が直面している  ジェンダーに基づく暴力や嫌がらせを暴露する#MeToo運動など、長い間注目されなかったさまざまな問題に注目を  集めることに役立っています。

しかし、主流の目から離れて、21世紀に女性が直面する大きな問題は残っています。 いくつかの問題は絶望的に   永続的であり、鍵のかかったドアの後ろに残っています。

2021年、ペナル・リフォーム・インターナショナルは2010年以降、世界で女性の受刑者数が17%増加したと報告 しました。歴史的に男性向けに設計された施設では、投獄された女性は忘れられ、妊娠、性別特有のヘルスケアの     欠如、暴力、精神的および性的虐待を含む女性特有のさまざまな問題にさらされています。多くの場合に報告されてい  ない事実は、多くの女性受刑者が 軽微な犯罪のみを犯した者であり、しばしば虐待の犠牲者であることです。     おそらく、世界中のこの女性グループに与えられた人権の欠如を考えると、ネルソン・マンデラ氏の言葉はまだ真実 であるかもしれません。「刑務所に入らずして、誰もその国家を真に理解することはできない。 国家は、どのように 上流階級の市民を扱うかではなく、どのように下流階級を扱うかで判断されるべきだ。」

絶望と沈黙の怠慢を背景に、人は常に希望とインスピレーションを見つけることができるとよく言われます。20017月の夏の日、バンコクの中央女性矯正施設の女性受刑者は、若い女性の訪問者に、刑務所での子育てに関する懸念について話しました。 女性受刑者の苦難と脆弱性、そして罪のない子供のためのケアと機会の欠如は、若い訪問者 -  タイ王国のパッチャラキティヤパー王女殿下に衝撃を与えました。

王女殿下は、コーネル大学ロースクールで法学博士号(J.S.D)を取得し、タイで検察官として働いたことで刑事司法と法の支配に関する豊富な経験を積んだ後、2006年に自己資金を使って、タイで「ガムランジャイプロジェクト(インスパイアプロジェクト)」を立ち上げました。このプロジェクトは、人権を擁護するという前提に基づいて、 女性と妊娠中の受刑者が、妊娠、ヘルスケア、育児といった乳児を適切に育てるための女性特有の問題における支援を与えられた最初の事例を生みました。

長年にわたり、このプログラムはタイのさまざまな矯正施設で実施されており、プミポン・アドゥンヤデート前国王陛下の足るを知る経済哲学に基づいた開発主導のアプローチを通して、何千人もの女性受刑者が社会に復帰するように促す長期的なアプローチに着手しています。

ガムランジャイプロジェクトの効果はタイだけにとどまりませんでした。 王女殿下は、検察官と外交官の両方の立場から弱者の権利を主張してきましたが、女性のための変化は、社会的領域と法的領域の両方が連携して進化する場合にのみ実現できることが認識されました。

2008年に、王女殿下はウィーンで開催された第17回国連犯罪防止刑事司法委員会(CCPCJ)のセッションでガムランジャイプロジェクトについて発表し、女性犯罪者の公正な扱いに関する世界初の一連の特定規則の構想と採択のためのタイの多面的なグローバルキャンペーンのきっかけを打ち立てました。 多国間フォーラムの中で、王女殿下は「女性受刑者の生活向上(ELFI)」キャンペーンを主導し、1995年の国連被拘禁者処遇最低基準規則によって設定された規範を更新するための国際的な合意に達しました。

彼女の推進力の下で、タイは国連の起草プロセスの主導的プレーヤーとなり、世界中の女性受刑者の権利に対する 多国間運動を推進しました。わずか2年間の厳格な政治的および法的なロビー活動で、女性被拘禁者の処遇及び女性犯罪者の非拘禁措置に関する国連規則(バンコク・ルールズ)が2010年の第65回国連総会で採択され、 国際社会における法的パラダイムシフトが生まれ、女性受刑者の処遇にまつわる最初の国連基準となりました。

バンコク・ルールズにより、女性はもはや世界の忘れられた人口の中に留められません。 母乳育児中の母親に対する厳重な監禁による罰の禁止、メンタルヘルスケアの支援、保護に至るまでの規定、虐待について通報する人々の保護のため、バンコク・ルールズはすべての国が遵守するための一連の実行可能な基準を確立しました。世界中で努力が続けられていますが、そのような努力が具体的な成果をもたらし、世界中の無数の女性と子供たちの生活に刺激を与え、 直接利益をもたらしてきたことは疑いの余地がありません。 

王女殿下が示した例に触発されて、タイ法務研究所(TIJ)は、刑事司法と法の支配に対する女性の権利と尊厳を主流化し続けています。 彼女の言葉には、力と思いやりがあり、希望を見出せます。「女性を尊重する次世代の男性を生み出すために、今日の子供たちにジェンダーの問題を教えなければなりません。 しかし何よりも、私たちは辛い過去を持つ人々に、希望を持って生きる勇気を持たせるように促す必要があります。」

マンデラ氏の言葉を再考するにあたり、おそらく今日、国家というより世界は、昨日と異なった角度から判断することができます。デジタルテクノロジーが毎日のようにネガティブな見出しで私たちを圧倒している、このますますグローバル化する世界では、おそらく世界が必要としているのは、小さな希望と、より多くの「ガムランジャイ」または心のインスピレーションなのではないでしょうか。

* * * * *

Dr. Phiset Sa-ardyen is the Executive Director of Thailand Institute of Justice (TIJ), which is dedicated to promoting Thailand's justice system, in affiliation with UN-PNI.  Dr. Sa-ardyen began his career as a lecturer at Chulalongkorn University and later joined the Ministry of Justice.  Prior to his appointment as Executive Director of the TIJ in February 2021, he served in key positons at the Ministry of Justice including Director of International Affairs, Director of Legal Affairs, and Director of Information and Communication Technology Center. 

執務時間

査証申請時間
 
午前 09.30 ~ 11.30
 
査証受領時間
(申請日の2営業日後)
 
午後 13.30 ~ 15.00
 
認証申請時間
 
午前 09.30 ~ 11.30
 
認証受領時間
(申請日の翌営業日)
 
午後 13.30 ~ 15.00
 
ビザの申請
ビザオンライン予約申請
パスポート
戸籍関係・認証
身分証明書